コミュニケーションの工夫次第で、
薬や手術と同じくらい
誰かを幸せにできるかもしれない。

2018.08.30市川 衛 氏 NHK制作局 第1制作センター 科学・環境番組部 チーフ・ディレクター


既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

2018年8月下旬、NHKで医療健康関係の番組制作を手がける市川衛氏をお招きし、「これからのメディカルコミュニケーションを考える~正確でわかりやすい医療情報の伝え方 医療の〈翻訳家〉を目指して」と題するご講演をいただきました。
また、ご講演の後に、社外の識者にもご参加いただき、市川氏を交えてパネルディスカッションを開催しました。
同じ物事について考えていても、視点を変えることによって、こんなにも表現は変わるものなのか。今回のセミナーでは、そんな驚きに満ちた体験をすることができました。

ここでは、その貴重な体験の一端を紹介したいと思います。

講師:市川 衛 氏

NHK 制作局 第1制作センター 科学・環境番組部 チーフ・ディレクター
2000年、東京大学医学部健康科学・看護学科卒。同年、NHK入局、医学・健康分野を主なフィールドとして世界の最新研究を取材。2016年スタンフォード大学客員研究員。現在、京都大学医学系大学院非常勤講師も務めている。主な作品として、NHKスペシャル「腰痛 治療革命」「医療ビッグデータ」、ためしてガッテン「認知症! 介護の新技」など。著書に『脳がよみがえる・脳卒中リハビリ革命』(主婦と生活社)、『誤解だらけの認知症』(技術評論社)など。医療ジャーナリストとしても活動しており、Yahoo! 個人オーサー、メディカルジャーナリズム勉強会代表を務めている。

第1部 発想の転換を促すデザイン・シンキング

第1部では、市川氏から「いま求められている医療健康情報とは何か」「コミュニケーションで貢献できる医療、発想転換による疾患アプローチについて」の二つのテーマに基づいてお話いただきました。

前者については、ネット上で検索エンジンを提供するGoogle社が、医療・健康情報の日本語検索に関して、医療従事者や専門家、医療機関等から提供される情報を優先して上位表示することにしたという出来事に言及しながら、ユーザー(読者)に届きやすくするための情報発信法について、ご提言がありました。

また後者については、課題設定の視点をユーザー側からのものに変えるだけで劇的な発想の転換が生まれる「デザイン・シンキング」の手法に触れながら、ご自身が手がけられた番組での経験をもとに、「コミュニケーションの工夫次第で、薬や手術と同じくらい、誰かを幸せにできるかもしれない」というメッセージをいただきました。

市川氏のご講演は、クイズ形式を採り入れたり、セミナー参加者の意見を募ったりして、インタラクティブな要素が盛り込まれており、それ自体にコミュニケーションの一つのあり方が示されていて、時間の経過を忘れるほど知的興奮に満ちたものでした。

第2部 ユーザー(読者)に寄り添う姿勢を追求し続けたい

続く第2部では、市川氏のほかにゲスト参加者として、Monthly ミクス編集長の沼田佳之氏、一般社団法人サードパス代表理事の大屋亜希子氏、がん治療新時代web編集長の笠井篤氏、ジャーナリストの村上和巳氏をお招きし、真和からメディカル・ライティング部長の田中智子、司会として取締役常務執行役員の馬瀬友彦が加わってパネルディスカッションを行いました。

第2部では、大きく分けて二つのことがテーマとなりました。一つは「正しい情報とは何か」、もう一つは「ユーザー(読者)に寄り添う情報発信法」についてです。

前者のテーマでは、真和の田中がスポンサーの存在を前提に、「自分が知る限りの正しさを追求しつつ、判断の素材を提供するスタンス」であると考えを述べました。また、市川氏は「正しい」とはなるべく言わず、「適切な」「お役に立つ」という言葉を使うようにしていると、工夫の一端を明かしてくださいました。

後者のテーマでは、村上氏が一般読者を対象とする場合、「参考文献が掲載されていたり、計算を伴う数字があったりすると、専門家向けと勘違いされ読んでもらえなくなる」と指摘されました。また笠井氏は「患者さんと接する機会を定期的に持つことが、患者さんの立場に立った編集作業に役立つ」、沼田氏は「背景を書き込むことで、読者の共感共鳴の獲得を目指している」と、それぞれご経験をもとにお話されました。

一方、大屋氏は、後者のテーマから派生した議論の中で、多職種連携をテーマにした勉強会の開催経験をもとに、「治療したい医療職と生活向上を目指す介護職では、話し合いの前提が異なっていることが多い」と問題提起されました。この点について、セミナー参加者から「患者さんは医師、看護師、介護職の人それぞれに見せる顔が違うので、多職種が連携することで、より人間らしい医療につながる可能性があるように思う」との発言がありました。

このほか、セミナー参加の若手から「そもそも、わかりやすい文章とは何かがわからない」という率直な悩み相談が飛び出し、会場が笑いとどよめきに包まれる場面も。市川氏は「自分も日々悩みながら、ユーザー(読者)に寄り添う姿勢を追求し続けている。良質なコンテンツを分析し、表現の意図を掘り下げて考えるトレーニングをすると、わかりやすい資料制作に役立つと思う」とお話されていました。

研修後のアンケート もっと自分たちにできることがある

セミナーには会場となった東京本社で約40人、中継視聴となった大阪本社で4人が参加。また、今回はテーマに関係が深いと思われる真和の一部の取引先の方にもご参加いただきました。セミナー後に行われた懇親会でも、講師、社外識者を囲んで、熱い議論が続きました。なお、セミナー終了後に実施したアンケートでは、「伝える→伝わる→行動変容」といった流れは、ジャーナリズムにも広告にも共通すると受け止めた社員が多かったようで、「日々の仕事を見直すよい機会になった」、「刺激を受けた。もっと自分たちにできることがあると、改めて感じた」といった感想が多数寄せられました。

Recruiting Information

メディカルライター、アカウントエグゼクティブを募集しています。
応募される方は、こちらをご覧ください。

ページTOPへ戻る