医師に提供される医療情報に必要なものは? ~リウマチ・膠原病領域の経験から~

2019.4.3竹内 勤 先生
慶応義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科 教授


既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

近年、様々なアンメットメディカルニーズに応えるべく、世界各国の規制当局において医薬品開発と審査を加速化させるための種々の制度が導入され、医薬品開発のスピードは目覚ましい発展を遂げました。活発化する医薬品開発の一方で、次々と発売される新薬をはじめとする医薬品の適正使用情報は医療現場に必ずしも十分に伝えられていないという「情報のアンメットニーズ」が生じています。
今回は、慶応義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科 教授の竹内勤先生をお招きし、「医師に提供される医療情報に必要なものは?」という、医薬品広告代理店である私たちにとって、存在意義そのものに関わる最重要テーマでご講演頂きました。ここでは、その一端をご紹介いたします。

講師:竹内 勤 先生

慶應義塾常任理事 兼 慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科 教授

慶應義塾大学医学部を昭和55年9月に卒業、昭和59年9月に慶應義塾大学医学研究科大学院を修了後、昭和60年1月にハーバード大学ダナ・ファーバー研究所に留学。昭和61年12月、埼玉医科大学総合医療センター第2内科(現 リウマチ・膠原病内科) 助手に就任し、平成1年4月の講師、平成5年1月の助教授、平成10年7月の教授就任を経て、平成16年8月に埼玉医科大学副学長に就任。平成21年8月に慶應義塾大学医学部リウマチ・膠原病内科 教授に就任後、平成23年10月に同学部の医学部長補佐に就任。平成25年4月、慶應義塾大学免疫統括医療センター センター長に就任し、同年10月に慶應義塾大学病院 病院長に就任。平成29年8月より、慶應義塾常任理事および慶應義塾大学医学部 リウマチ・膠原病内科 教授を兼任し現在に至る。

有効性だけでなく、安全性の情報がリウマチ領域の治療を変えた

関節リウマチの治療環境は、過去40年に治療薬が5剤ほどしか存在しなかった時代から、生物学的製剤であるインフリキシマブの登場(2013年)以降、年に1~2剤の新薬が登場するほど大きく変化し、診断基準や治療ゴールをも変えるインパクトをもたらしました。生物学的製剤は既存治療に比べて劇的な効果を示す一方で、結核をはじめとする副作用が大きな問題であり、発売当時多くの臨床医は生物学的製剤を使用することに対して批判的でした。そのような中、今日インフリキシマブなどの生物学的製剤がリウマチ領域で確固たる地位を築くことができたのは、世界的に類をみない大規模な市販後全例調査を行い、医師が必要とする安全性情報を適切に伝えてきたことにありました。その際、調査結果を多忙な医師でも把握しやすいようポイントにまとめたり、視覚的に比較しやすいグラフにしたりするなど、表記方法にも工夫が施されました。これらの情報を日常診療にフィードバックしたことで適正使用につながり、重篤な副作用の発現を最小限に防ぎながら、薬の効果を最大限に発揮することが出来たと考えられます。

製薬メーカーをクライアントとする私たちは、ともすれば都合のよい有効性情報ばかりに目を向け、安全性情報は軽視しがちでしたが、安全性情報がむしろ医薬品の普及に繋がったという今回のお話を通じて、安全性情報の重要性をネガティブではない視点から捉える貴重な機会となりました。

医師に提供される情報は、まだ不足している

ご講演の後半は、医師に提供している情報がいまだ不足している実情について診療ガイドラインを例にお話頂きました。様々な領域で診療ガイドラインは発行されており、改訂されると、基本的に私たちはガイドラインの内容をそのまま資材化するのが常となっています。しかし、医師として知りたいのはガイドラインの内容だけでなくその背景にあるエビデンスであり、これらを一緒に提供してこそ、診療に役立つ価値のある情報提供になり得ることを教えていただきました。

「医療の情報提供に必要なこと」、それは確かなエビデンスに基づきその薬剤のいいところを最大限に伝えつつも、日常診療で注意すべき副作用情報を過不足なく伝え、そして何よりわかりやすい形にすることではないかと思います。今回のご講演を通じて、ユーザーの視点に立った情報提供の意義を、あらためて確認することができました。

(メディカル・ライティング部 岸 佑子)

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