「行動デザイン」活用法 ~人を動かすコミュニケーションとは?

2019.7.11國田 圭作 氏
嘉悦大学経営経済学部 教授  博報堂行動デザイン研究所 フェロー(前所長)


既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

近年、わが国でも医薬品に費用対効果が求められつつあります。その中で、私たち医療系広告代理店の提案や資材などのコミュニケーションツールに対しても費用対効果が問われる時代となってきています。例えば、ターゲットである医師や患者の行動変容を促し、患者の選択肢を増やすといった正確で分かりやすいコミュニケーションへのニーズは、さらに拡大する可能性を秘めています。
今回は、博報堂で「行動デザイン」について長年研究されてきた國田圭作氏をお招きし、行動を促す視点を持ったアイデア提案の方法についてご講演いただきました。ここでは、その一端をご紹介いたします。

講師:國田 圭作 氏

嘉悦大学経営経済学部 教授  博報堂行動デザイン研究所 フェロー(前所長)

1959年生まれ。1982年東京大学文学部卒業後、博報堂に入社。以来、一貫してプロモーションの実務と研究に従事。2013年博報堂行動デザイン研究所所長に就任。大手ビールメーカー、大手自動車メーカーをはじめ、食品、飲料、化粧品、家電などのブランドマーケティング、商品開発、流通開発などのプロジェクトを手掛ける。2006年に行われた第53回カンヌ国際広告祭の部門賞(プロモライオン)で審査員を務める。2019年4月より現職。
著書に『行動デザインの教科書』共著に『しあわせの新しいものさし』がある。

ギャップを認識することで、スルーされる情報を行動に

「正しいことを、正しく伝える」と人はその通りに動くだろうか?――國田氏は、まず私たちの日常業務の根幹に触れる問題を提起し、人が思うように動いてくれない理由について語り始めました。
私たちは昨今の情報過多に加えて時間も不足しているため、情報を処理して行動に移すまでに至らぬまま、欲求が流去されてしまっています。その背景には、「意識と行動の間のギャップ」と「送り手と受け手の間のギャップ」といった人間の普遍的な性質が潜んでいます。これらを認識することで、行動に結びつける手段が見えてくると考えられます。
人は疲れている、時間がない、関心が低いときは直感に従い、素早く簡単に選択・行動しがちなため、意欲と行動の間にはギャップが生じます。また、送り手は受け手の考えることや、気を遣うことに対して過小評価しがちなので、ここにもギャップが生じてしまいます。國田氏は、もっと受け手のコスト意識やリスク感に丁寧に向き合おうと述べられました。

行動デザインとは「やってみたい!」を作ること

後半は、ナッジ*理論の応用と取りつきやすさ(アクセシビリティ)について、事例を踏まえ解説いただきました。
ナッジの事例には、有休が取りやすくなる365日の7割以上が休日の「世界の祝祭日カレンダー」や、健康を促していないのに運動している「Pokémon GO」、大学病院で手を入れるとアルコール消毒される「真実の口」などがあります。このように、思わず「やってみたい!」と行動を誘発する仕掛けがあると行動変容が起きます。ヒットするマーケティングには優れたナッジ、いわゆる行動誘発装置があるのです。
また、行動変容にはアクセシビリティも大切で、受け手は距離と時間と価格のコストを総合的に評価し、行動していると考えられます。送り手は、やる気を高めるだけでなく、やりやすさ(≒アクセシビリティ)や引き金(行動誘発装置)についても、注力する必要があります。
最後に國田氏は、「行動」(阻害要因)に注目することで、思わず「やってみたい!」を喚起・活性化するマーケティング手法が行動デザインであると締めくくり、私たちにとって顧客の行動に着目する気づきや視点を学ぶ良い機会となりました。

*ナッジ:肘でちょんとつつくこと

(コミュニケーション・デザイン部 天野 準)

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