これからの医療コミュニケーションで製薬会社に求められること ~病気と闘う 患者の視点・QOLから~

2019.10.3鈴木 信行 氏
患医ねっと代表


既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

製薬会社はこれまで、患者さんよりも医療者とのコミュニケーションを重視する活動を行ってきました。しかしながら、医療をとりまく環境が変容しつつあるなかで、製薬会社の医療への関わり方が問われるようになり、製薬会社にとって「患者さんを知る」ということも、大きな課題の一つとなっています。

今回は、患者の立場から理想の医療環境を提言・発信する活動を精力的に行っておられる患医ねっと代表の鈴木信行氏をお招きし、障がい者として、そしてがん患者として、医療者と積極的に関わってこられた鈴木氏ならではの視点で、ご自身のエピソードを交えながら医療環境のあるべき姿、そしてこれからの製薬会社に求められることついて語っていただきました。

 

講師:鈴木 信行 氏

患医ねっと代表

1969年生まれ。先天性の二分脊椎症により、身体障がい者2級。20歳で精巣がんを患い、再発・転移後、46歳で甲状腺がんになる。工学院大学卒業後、製薬会社を経て2011年に患医ねっと(http://www.kan-i.net/)を設立し、患者の立場から医療者向け・製薬会社向け・市民向けのイベント・研修の企画・運営、講演、執筆、コンサルティングなど幅広い活動を展開している。

医療者の任務は、「国民の健康な生活を確保する」こと

鈴木氏はまず、医療現場で起きているさまざまな事例を通じて現状の医療コニュニケーションの問題点を指摘し、医療者が患者さんの「健康な生活観」を理解することの重要性を強調されました。
医療者の任務は、医師法、薬剤師法の第1条の条文にもあるように、「国民の健康な生活を確保する」ことです。しかしながら実際には、医療者は患者さんの「健康な生活観」を必ずしも的確に把握しているわけではありません。鈴木氏は、その現状を変えていくために、患者がもっと積極的に医療者と関わらなければならない、と力説されました。

「要望書」や「お薬手帳」を通じて、患者は医療者と積極的に関わることが可能

その上で鈴木氏は、ご自身が医療者とどのように関わっているのかを説明してくださいました。一つは、「要望書」に自身の生活において大切なことや医療に対する要望を明記し、それを主治医に渡すこと。もう一つは、「お薬手帳」に残薬数や病名、検査データ、質問項目などを書き込み、それを薬剤師に見せること。これらのツールを活用することで、自身の「健康な生活観」を的確に医療者に伝えることができ、理想の医療環境に近づくことができる――鈴木氏はそう確信しておられます。

製薬会社が「患者さんを知る」ためには――じかに接すること、そして会社活動を知ってもらうこと

一方、製薬会社は、理想の医療環境の実現のため、今後どのように医療と関わるべきなのでしょうか。鈴木氏は、製薬会社はもっと「患者さんを知る」必要があり、そのためには患者さんとじかに接することが重要である、との考えを示されました。同時に、患者さんは決して遠い存在ではなく、家族、親戚、同僚など、ごく身近に存在しているという当たり前の現実を指摘し、身近な患者さんの声をもっと聞くべきだと強調されました。
さらには、製薬会社自身の活動を患者さんに理解してもらうこと、つまり「患者さんを理解するには、製薬会社自身が理解されること」の重要性にも言及されました。製薬会社からの発信は、患者さんを時に勇気づけ、それが患者さんと製薬会社の相互理解を深めるきっかけになるそうです。

鈴木氏は最後に、私たち真和の社員に対しても、身近な患者さんを知るための具体的な行動を明日から始めるよう助言し、本セミナーを締めくくられました。

(メディカル・ライティング部 岩本 邦彦)

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