2021年医療・製薬業界動向

2021.3.2沼田 佳之 氏
マンスリーミクス編集長
※ 本講演は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、オンライン形式で実施されました。


既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

近年、医療・製薬業界は激動の時代を迎えていましたが、2020年はそこに新型コロナウイルスという驚異的な変数が加わることで、リモートワークの導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速が半ば強制的に実施され、我々の生活自体も一変しました。製薬業界においても、従来型のビジネスモデルからの脱却は既に進行しており、今後この流れはさらに加速すると予想されます。
そこで今回は、マンスリーミクス編集長 沼田佳之氏をお招きし、「2021年医療・製薬業界動向」というテーマでご講演いただきました。ここでは、その一端をご紹介いたします。

講師:沼田 佳之 氏

株式会社ミクス 代表取締役 Monthlyミクス編集長

北里大学を1987年に卒業後、外資系製薬企業に入社。営業本部に所属し、医薬情報担当者(MR)として活動。この経験を踏まえ、1992年から製薬業界向けの日刊紙の記者として、厚生労働省、製薬業界、医学・医療界の取材に従事。キャップ、デスク、編集長を経て、2008年12月にエルゼビア・ジャパン株式会社に移籍。Monthlyミクスの編集長に就任。
2017年7月にエルゼビア・ジャパンから株式会社ミクスに事業が承継され、同社の代表取締役兼ミクス編集長として現在に至る。

業界環境 新型コロナの登場がビジネスを変えた

講演は、2021年に予定されている診療報酬・薬価改定関連の各種部会の話題からスタートしました。本年は特に任期満了に伴う衆議院選挙も予定されているため、医療業界に対しても少なからぬ影響が出ることが予想されます。
また、例年のことになった薬価改定に加えて、新型コロナの登場によって製薬業界のビジネスは大過渡期を迎えるに至りました。昨年中において、医師の印象に残った情報チャネル別のDTL数を調査したデータでは、これまでずっとトップであった「MR」が、緊急事態宣言下の4~5月には「インターネット」にその座を明け渡す結果となりました。特筆すべきは状況が比較的に落ち着いていた10月においても、「MR」のDTL数は100%に戻っておらず、「Web講演会」や「インターネット」が平時と比較して、それぞれ156%および130%と、さらに増加したことです。この結果を反映するように製薬会社に「新型コロナによってMR像や情報提供のあり方、デジタルツールの活用は変わるか?」というテーマでアンケート調査を実施したところ、およそ7割の会社が「変わる」と回答しました(図1、図2)。
各製薬会社は、既にデジタルを活用した新たな情報提供ツールの開発や、MRのリモートワーク(Web会議、リモート面談など)を支援する取り組みを開始しており、今後この流れはマインドセットの変革も伴いながら一気に浸透すると考えられます。「旧来型の営業(訪問件数、コール数など)からニューノーマル型営業(リモート面談、メールアポイントなど)へ」、また「MR to Dr(1vs1)からMR to Dr Group(vs多、小規模リモートMTGの開催)へ」、地理的・時間的制約の少ないオンラインならではの強みを生かしつつ、柔軟に対応することのできる新しいMR像やマーケティング戦略が求められています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)って?

現在、世界時価総額ランキングではGAFA※や中国Alibaba Groupに代表されるプラットフォーマー企業がトップを占め、世界市場を席捲しています。このような企業がどのように医療に関わってくるかを考えることで、医療におけるDXの活用の切り口が見えてきます。
そのひとつがデータヘルス改革プランだと考えられます(図3)。本年4月に予定されている健康保険証とマイナンバーカードの一体化を皮切りに、オンラインでの医療保険資格確認が可能になります。さらに、こうした取り組みやデータヘルス改革が進むことで、患者情報と医療機関情報が紐づく、医療プラットフォームが構築されます。
このような医療プラットフォームがさらに発展することで、患者さんは、「オンライン診療(決済を含む)⇒病院・薬局間での電子処方箋を介した情報共有⇒医薬品のデリバリー⇒オンライン服薬指導」など、自宅にいながら今までの医療をそのまま受けることが出来るようになります(図4)。国の施策をベースとするプラットフォームに、民間のプラットフォームが重なることで、患者さん向けの新たなサービスとして、eコマースやOTC、関連商品のオンライン販売などの新たなビジネスチャンスも生まれるかもしれません。これにより患者個々に最適な医療を提供することができる可能性にもつながります。言い換えれば、患者さんの医療満足度を物差しとした治療アウトカムベースの医療システムがDXによってもたらされるのです。

このようなDX医療プラットフォームを念頭に置いた場合には、製薬業界も今までの革新的新薬による医療への貢献に加えて、より広範囲な治療アウトカムの向上、患者満足度の向上へ寄与する必要があり、患者さんのみならず社会に貢献するという視点を持つことが重要になるという論点で講演は締めくくられました。

※:Google、Amazon.com、Facebook、Apple Inc.の4つの主要IT企業の頭文字を取って総称する呼称

(メディカル・ライティング部 曽我亮介)

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