真和セミナー
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【セミナー25. 講師:伊賀 聡 氏】2つの洞察力~ヒット商品を生み事業成長を実現する戦略立案の方法~

2022.11.10 講師:伊賀 聡 氏
株式会社アキラカ 代表取締役

※ 本講演は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、オンライン形式で実施されました。

既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

私たち広告代理店のミッションは、クライアントや製品が本領を発揮できるよう、最大限のサポートをすることです。中でも戦略立案は、その最上流に位置する業務であり、最適な戦略を提案できることは、私たちにとって大きな強みとなります。そこで今回は、博報堂のマーケティング部門において数々のヒット商品の戦略を立案し、現在は株式会社アキラカの代表を務められている伊賀聡氏に、「ヒット商品を生み事業成長を実現する戦略立案の方法」をテーマにご講演いただきました。

講師:伊賀 聡 氏
株式会社アキラカ 代表取締役
事業ブランド戦略パートナー
創発ファシリテーター

<講師略歴>
博報堂でマーケティング職、戦略プラニング職に従事。マーケティング部部長、マーケティングリサーチ領域事業統括部長、チーフ戦略ディレクターを経て、2022年独立。
多くのヒット商品を創出し、得意先企業の事業再生、事業創出を支援。マーケティングリサーチ領域のベンチャー・スタートアップ支援、M&A、アライアンス開発推進。日本のビジネス界にワークショップを導入啓発したパイオニアプロジェクトに参画。各種ビジネスWSや創発会議のファシリテーション実績多数。企業研修やMBA、大学での講義、セミナー実績も多数。
‐ 公益社団法人日本マーケティング協会マーケティングマイスター カリキュラム策定委員
‐ 一般社団法人マーケティングリサーチ協会 産業ビジョン委員
‐ 株式会社マーケティングアンドアソシエイツ 戦略顧問
‐ 女性起業家育成 EYアクセラレータープログラム メンター
‐ 草月流いけばな師範(伊賀晶樺)

マーケティングの幹は、本質洞察による戦略立案

もともとマーケティングの仕事の中心は、ビジネスの幹を考えること、「戦略」でしたが、近年はデジタル化の進展により、デジタル施策の効率的な運用など、枝葉の「戦術」が中心となってきています。しかしあくまで幹である戦略がしっかりしていなければ、枝葉はすぐに枯れ落ちます。すぐに他社に真似され、ビジネスが同化してしまいます。
なによりも重要となるのは、本質を捉えることです。本質を捉えることは「ブランディング」、すなわち、会社や商品サービスの個性や存在意義、価値、アイデンティティを明確化することにつながります。これらを明確化することで、社会や市場における仲間や顧客がはっきりとし、進むべき道が明らかになると考えています。

2つのインサイトから導く、本質を捉えた戦略

本質を捉えた戦略立案を行うためには、まず「生活者インサイト」、「経営インサイト」の2つを見つけ出す必要があります。
「生活者インサイト」とは、生活者自身が気付いていないような潜在願望のことです。その潜在願望をつくことで、生活者の心を動かすことができるもの、すなわち「ホットボタン」のようなものであり、事業サービスや広告のコアアイディアに直結します。
一方、「経営インサイト」とは、その企業自身気付いていないような、潜在可能性のことです。表面的な技術や商品特徴の裏側にある、経営資源や強みによって構成されるその企業ならではの経営、事業の仕組みであり、他社には真似できない模倣困難性があるものです。
戦略立案において基本となるのは、「生活者インサイト」と「経営インサイト」の2つのインサイトから、両者が共有する「共感テーマ」を見出す、という発想フレームです。この発想フレームを用いて、「生活者の潜在願望・潜在不満に対して、自社の資源、強み、独自性、模倣困難性でどう応えるか?」、「社会や市場をどのように変えるか?どのような新しい価値を提示するか?」といったことを考察し、見出された「共感テーマ」を軸として、そのビジネスや事業、ブランドの価値を再定義していくのです。

インサイト発掘のためのアプローチ法

2つのインサイトを発掘するには、いくつか有効なアプローチ方法があります。まず「経営インサイト」の発掘には、第3者が会議やプロジェクトを進行し、相互触発を促す「創発ファシリテーション」が有効です。役職にとらわれず全ての意見を書き出したり、場合によっては互いをニックネームで呼び合ったりすることも創発ファシリテーションを活性化させるためのポイントです。
「生活者インサイト」へのアプローチとしては、お宅訪問や行動観察、インタビューなどによるインサイトリサーチが有効ですが、本人さえも自覚していないインサイトを言葉で引き出すのは容易ではありません。そのため、より感度が高いと思われる生活者を対象としたり、家族にもインタビューに同席してもらったりと、生活者に自身の想いに気付いてもらう、言語化してもらうための工夫をすることが重要だと考えています。

本セミナーでは、様々な戦略立案をされてきた伊賀氏の頭の中の一部を垣間見せていただきました。一口に広告やマーケティングと言っても様々な捉え方がある中で、「幹である戦略がしっかりしていなければ、枝葉はすぐに枯れ落ちてしまう。」という言葉が印象に残りました。私達も、クライアントや製品がその本領を十二分に発揮できるよう、本質から逃げずに粘り強く、戦略・企画の提案に取り組んでいきたいと思います。

(メディカル・ライティング部 西 真名美)

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