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【セミナー28. 講師:古川 渉一 氏】明日から実務で使える実践ChatGPT講座

※ 本講演は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で実施されました。

既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

2022年にOpenAIが公開した対話型AIのChatGPT(GPT-3.5)は、それまでのAIとは異なり、まるで人間と話しているような自然なやり取りができることなどから急速に広まりました。今回は、株式会社デジタルレシピの古川渉一氏をお招きし、ChatGPTの世界観をより深く知るためにより実践的な内容について、ご講演いただきました。ここでは、その一端をご紹介いたします。

講師:古川 渉一 氏
株式会社デジタルレシピ取締役CTO(チーフテクニカルオフィサー)

東京大学工学部在学中、AI研究の第一人者の松尾豊研究室に所属。卒業後、国内No1Twitter管理SaaS SocialDogなど複数のスタートアップで活躍。
株式会社デジタルレシピCTO就任後、パワーポイントからWebサイトを作る『Slideflow』を立ち上げ、現在、AIライティングアシスタント『Catchy(キャッチー)』の事業責任者に至る。
事業戦略、プロダクト開発、マーケティング、AIのビジネス活用など幅広い分野に知見をもち、ゼロから事業を立ち上げることを得意とする

社会現象といっても過言ではないChatGPT

古川氏は冒頭、弊社のオフィス移転のお祝いを述べましたが、直後にChatGPT(GPT-4)で作成した文章だということを種明かししました(図1)。作成手順として、①ChatGPTにプロのコピーライターという役割を与える、②作成したい文章の要件を伝える、③弊社Webサイトの会社情報を与える、といった簡単なステップが紹介されたことでChatGPTが急速に広まった理由を垣間見ることができました。
実際、2022年11月30日にChatGPTが公開されると、1週間で100万ユーザー、2ヵ月で全世界1億ユーザーを超え、社会現象といえるほどの速度で知られていきました。過去に対話型AIはChatGPT以外にも断続的に作られていましたが、ユーザーによる悪意のある情報(バイアスのかかった情報や差別的な表現)により、システムが炎上し、公開中止になるものもありました。そのため、ChatGPTでは機械学習だけでなく、人間が介入して言葉の良し悪しを教育したことで急速に浸透しました。

対話を重ねるごとに洗練されるChatGPT

ChatGPTは何にでもなれるため、具体的な役割(プロのコピーライター、営業アシスタント、寄り添ってくれる友達、健康志向の高い人など)を与えて疑似人格を作ることで、その人格に沿った意見を求めたり、用途に合わせた文章を作成したりすることが可能です。
また、ChatGPTは対話型AIであるため、1回の質問や依頼で明確な回答を得られなかったからといって、そこで投げかけをやめないことが大切です。回答の中で満足できなかった部分を再度問いかけて、コミュニケーションを繰り返すことでより良い回答を導き出すことができます。加えて、会話の中での表現(相槌を打つ、謝罪するなど)が、これまでの技術と大きく異なっていることも魅力であるといえます。

リスクを正しく理解し、よりよく使う

ビジネス上の活用で特に注意したいリスクとしては、著作権侵害と情報漏洩があります。著作権侵害については、ChatGPTのような生成AIが作成した文章やイラストだとしても例外はなく、利用者が今までどおり既存著作物を侵害していないかを確認することが必要です。
次に、情報漏洩で一番気を付けるべきことは、ブラウザ版のChatGPTの初期設定ではユーザーの入出力を公開情報と同様に扱われてしまう点です。入出力した情報は、AIの学習データに使用され、他人の回答に学習結果として反映されてしまう恐れがあります。なお、情報が即時、他人の回答にひも付けられるわけではなく、大量のデータの一部として取り込まれ、将来的にどこかで使われてしまうリスクがあるということです。そのため、学習データに使用されないように初期設定の変更や、API(ブラウザではなく、普段使用しているシステムに取り込むツール)として使用することが対策となります。いずれにしても、機密情報、個人情報は入力しないことが前提になります。

今後、文章の生成AIは、より優れた文章を作成するようになると予測されますが、だからといって人の仕事がなくなるわけではありません。それは、作成された文章の取捨選択であったり、著作権侵害を確認したり、最終的に判断するのは人だからです。そして、AIによる効率化も1つの技術革新にすぎず(図2)、過大評価も過小評価もしてはいけないと考えます。まずは対話型AIを使ってみて、できることとできないことを知り、ビジネスに活用していただければ、と古川氏は講演を締めくくりました。

(メディカル・ライティング部 池田 育代)

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