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【セミナー22. 講師:大谷 勇太 氏】~60万回の診療実績から見えた~ オンライン診療最前線

2022.7.13 講師:大谷 勇太 氏
株式会社メドレー CLINICS事業部 第一フィールドセールスグループ グループマネージャー

※ 本講演は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、オンライン形式で実施されました。

既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

いまだ新型コロナウイルスの終息が見えず、感染拡大の波が繰り返すなか、オンライン診療に関する規制が大きく緩和されたことから、その需要が増すことが予想されます。
今回は、株式会社メドレーの大谷勇太氏をお招きし、同社が提供するオンライン診療システム「CLINICS」の使用実績などをもとに「オンライン診療最前線」というテーマで、ご講演いただきました。ここでは、その一端をご紹介いたします。

講師:大谷 勇太 氏
株式会社メドレー CLINICS事業部 第一フィールドセールスグループ グループマネージャー

<講師略歴>
2006年大学卒業後、オリエンタルランドに入社。ディズニーホテルを運営する事業会社に配属され人事教育担当として従事。その後、保険会社やベンチャー企業にて事業企画、営業企画のキャリアを積み、2014年に歯科医院向けの通販事業を行う株式会社フィードへ入社。東京支店長、営業部門長として直販、代理店販売、新規事業の3部門を統括。医療業界のIT化に課題感を感じ、2019年に株式会社メドレーへ入社。CLINICS事業部にてオンライン診療・WEB問診ならびにパートナーセールスのセールスマネージャーを務め、現在に至る。

大規模な規制緩和により期待されるオンライン診療

オンライン診療は、遡ること1997年に国が遠隔診療を条件付きで解禁する通知を発出したことから始まりましたが、当時は、定められた条件などにより遠隔診療が普及することはありませんでした。2015年には条件解除通知による事実上の遠隔診療解禁で、徐々に遠隔診療への期待が膨らみ、内閣総理大臣を議長とする未来投資会議においても「遠隔診療の推進」について議論されるようになりました。2018年の診療報酬改定では初めて「オンライン診療」という言葉が生まれ、対象患者などの要件が定まり保険点数も付いたことで、普及していくと予想されましたが、実際は条件があまりにも厳しく、実施に歯止めがかかってしまいました。それでも、オンライン診療を活用した禁煙外来での治療継続率向上などの実績をもとに2020年の診療報酬改定でその規制が大幅に緩和される見込みとなったところに、新型コロナの感染拡大によって、オンライン診療への注目度が一気に高まりました。さらに拍車をかけるように国のオンライン診療に対する時限的措置で初診での利用も解禁され、オンライン診療の導入が急加速で増え、2022年の春の診療報酬改定で時限的措置で緩和された部分が恒久的に解禁となり、市場でのオンライン診療への期待が増すこととなりました(図1、2)

活用の幅が広がるオンライン診療

オンライン診療が可能な診療科は限定的なイメージもありますが、実際の診療だけでなく、治療法の説明や相談で使用されることもあり、現在では、内科領域、小児科、皮膚科、歯科領域や産婦人科領域などを中心に幅広い診療科での利用が進んでいます。

アンケートの結果や実態調査からみるオンライン診療の最新動向

2021年にデロイト トーマツ グループが実施したオンライン診療の認知度と利用度に関するアンケート※では、認知度が70%程度であるのに対し、実際の利用度は約7%(認知度の10分の1)という結果でした。利用度が低い理由としては、オンライン診療に対する漠然とした不安や、実施医療機関が少ないなどがあげられます。しかし、その後のアンケート結果から今後は利用度も増加すると考えています。
※デロイト トーマツ グループが20歳以上のオンライン診療・オンライン服薬指導の利用経験者・未経験者1,324名を対象とし、2021年5月23日~25日にWebアンケートを実施
加えて、2022年に株式会社メドレーが同社の提供するオンライン診療の利用者(患者・医師)を対象に実施したアンケートの結果、オンライン診療を一度受けた患者は、継続した利用を希望することがわかりました(図3)。また、医師側が懸念していたコンビニ受診患者や遠方からの受診患者の増加、医療全体の質の低下については、いずれも対面診療と比較して大きく変わらないとの結果でした。なお、遠方患者が増えたと回答した4分の1は「近隣にオンライン診療を実施しているところがない」「専門外来を有している」ことが理由の大半でした(図4)
最後に、医師にオンライン診療の効果を聞いたところ、80%以上が「患者の利便性が向上した」と回答し、治療継続率や患者満足度の向上にもつながっているとのことでした。また、他の効果として70%は「院内感染の防止につながる」と回答し(図5)、これは非接触によりリスクが減少しただけでなく、待合室の患者が減ったことで、対面診療が必要な急性疾患の方が来院した際の院内感染の不安も軽減されたことによります。

現時点で、オンライン診療については、患者が自ら検索して選択することは少なく、通院先の医師の勧めで切り替えていること、事前予約の必要があることなどから、コンビニ受診や遠方からの患者数が急増することはないと考えます。また、オンライン診療は、何かしらの理由で継続的な通院が困難な患者の対面診療を補うためのツールで、医師と患者が向き合う場面以外に、受付や診療費の算定などの事務作業、薬剤師による服薬指導など、多くのスタッフの業務もカバーしており、単なるテレビ電話では肩代わりできないことをご理解いただければ幸いです。と、大谷氏は講演を締めくくりました。

(メディカル・ライティング部 池田 育代)

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