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【セミナー23. 講師:三上 彰貴子 氏】呼ばれるMRになるために~最近のMR動向と今後~

2022.9.8 講師:三上 彰貴子 氏
株式会社A.M.C 代表取締役

※ 本講演は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、オンライン形式で実施されました。

既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

医師が有用と考える医薬品情報源として、面談などを通じたMRからの情報提供はコロナ禍で減少しました。しかし、各製薬企業がオンラインディテール等の環境を整えた結果、2022年では、MRからの情報が有用であると再認識されています。今回は、株式会社A.M.Cの三上彰貴子氏をお招きし、最近のMR動向などをもとに「呼ばれるMRになるために」というテーマでご講演いただきました。ここでは、その一端をご紹介いたします。

講師:三上 彰貴子 氏
株式会社A.M.C 代表取締役

<講師略歴>
薬学部卒業後、万有製薬(現MSD)にてMRに従事。MRの離職率の高さに懸念を抱き、外部から働き方の改革を試みるために退職し、病院経営や医療ビジネスの立ち上げなどに関わった後、独立。MRが活躍できる制度の検討や学生向けMRセミナーを開催し、MRのイメージアップにつなげる。現在は、エス・マックス株式会社のSMAXデータPLUSを用いたMRディテールデータ分析を行いながら、医療経済におけるMR動向を中心に医療業界、米国医療にまつわる連載をしている。
2021年6月に発売された『呼ばれるMR大全~MRを天職にする44のアクション~』の共同著者。

MRにまつわる問題の遷移

女性MRの離職率の高さや組織における立ち振る舞い、多忙なミドルマネージャーが抱える部下の育成など、時代とともに遷移するMRの働き方の問題をお話しいただいた後、エス・マックス株式会社で行っているMRディテール傾向についてご紹介いただきました。医師の多忙化や働き方改革、コロナ禍における訪問規制などで、医師に会える時間が限られている中、2018年あたりからMRの総ディテールは減少しつづけていました。さらに、コロナ禍以降、MRの直接面談数は、GPではコロナ禍前の6割程度の回復がみられるものの、HP・GPともにコロナ禍前と同等の数値までの回復はみられていません。三上氏は、医師は限られた時間の中でMR面談やeプロモーション、講演会などに時間を割くため、今後MRとの面談時間が無制限に増えていくことはないとし、この数値が頭打ちなのではないかと述べられました(図1)
さらに、MRが医師の依頼により訪問し情報提供を行ったのは、2019年4~12月では約3%、コロナ禍の2020年4~12月でも約4%とわずかであることが明らかになりました(図2;表1)。より製品に興味を持っていただき、活発なディスカッションをするためにも、医師からの依頼による情報提供、つまり「呼ばれるMR」の存在を増やしていく必要があるでしょう。

「呼ばれるMR」とは

川越満氏との共著で発売された『呼ばれるMR大全~MRを天職にする44のアクション~』の中から、具体的に「呼ばれるMR」とはどのようなMRなのか。特に印象に残ったものを中心にみていきます。
まず1つ目は、入手できる情報を把握し、自分の「モノ」にできるMRです。MRの中には、参考文献や他社製品の審査報告書なども細かく理解し、データの裏付けとして話すことができるように準備をしている人もいます。特に他社製品との差別化が難しい領域においては、このような綿密な準備は、医師との信頼関係を築くことに大いに役立つと考えられます。
次に、必要な情報をストーリーとして医師に伝えられるMRです。このような話法をすることで、医師の中で患者さんと薬の情報が紐づき、処方につながります。普段からストーリー構成を考えて資材を作成する重要性を私たちも改めて認識する必要があります。
さらに、自身が提供する情報に対して自分の意見を持つこと、個々の症例に基づいて1人の患者さんについて考え(One Patient Detailing:図3)、提案していくことで、医師とのディスカッションが活発になります。疾患や担当領域の治療薬全体を熟知することで、製品の単純な宣伝にとどまらず、ディスカッションを交えた積極的なコミュニケーションが可能となり、医師からの信頼もより一層高まるでしょう。
このようなMRの行動によって、製品に対する「想い」が医師に伝わり、その後も面会するか否かに非常に差がつきます。医師に会える時間を有効活用するためには、開発の経緯や患者さんの思いなども巻き込んで伝え、製品に「想い」を込めることが重要だと考えています。

MRの今後

最後に「プロパー」、「MR」という呼び名を経て、MRは次の名称に変わる時代が来ているのではないかと三上氏は述べられました。情報提供活動はこれまでと同様に必要ですが、MRの本質は製品に想いをのせることです。また、新薬の普及や育薬をしていく中で、個々の患者さんに対する症例コンサルティングも活発になっていくと同時に、看護師や薬剤師などに向けたマーケティング活動も増えていくでしょう。私たちが作る資材も、情報提供を第一とするのはもちろんですが、そこに想いをのせないと読み手に伝わりません。これからMRが置かれる状況の中でどれだけのMRが「呼ばれるMR」になれるのか、私たちの作る資材も大いに影響するといえるでしょう。

(メディカル・ライティング部 伊東 なな子)

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