真和セミナー
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【セミナー26. 講師:加納 真 氏】レセプトデータを活用した新たなビジネスソリューション

2023.4.20 講師:加納 真 氏
株式会社JMDC 製薬本部 コンサルティング部 部長

※ 本講演は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のため、オンライン形式で実施されました。

既成概念にとらわれず自由な発想を活かしたい。私たちの会社では、こんな想いから外部講師を招き、セミナーを実施しています。

近年、医療ITの進展により、大量のリアルワールドデータ(RWD)の取得および解析ができるようになっており、医療の発展に向けてその利活用が進んできています。今回は、代表的なRWDであるレセプトデータを活用した新たなビジネスソリューションについて、株式会社JMDC 製薬本部 コンサルティング部 部長を務められている加納真氏にご講演いただきました。

講師:加納 真 氏
株式会社JMDC 製薬本部
コンサルティング部 部長
博士(工学)

<講師略歴>
東京大学大学院(修士)卒業後、日本アイ・ビー・エム基礎研究所に入社。バイオインフォマティクスの研究者としてキャリアをスタート。業務の傍ら博士(工学)を取得。
その後、戦略コンサルタントに転身し、A.T. カーニー、PwCアドバイザリーにて、製薬・ヘルスケア領域の大企業向けを中心に、成長戦略・オペレーション戦略・M&A戦略などの案件を多数リード。
2021年よりJMDCに参画。データとビジネスの架け橋となることをミッションに、製薬企業のマーケティング領域でのリアルワールドデータ活用方法の検討・提案を行い、多くの企業と協業を進めている。

レセプトデータをはじめとするリアルワールドデータ(RWD)の活用

日本における医療の発展は、サービスを提供する医療者側(医療機関や製薬企業等)と、受け取る側(生活者や保険者、生命保険会社等)の双方が、RWDを始めとするヘルスビッグデータを活用しながら現状の課題解決に取り組むことが大きな支えとなっています。そして、日本におけるRWDは、レセプトデータを基軸に集積が進んでおり、そこに関連付けられるデータの拡張等を通じて、現在も発展し続けています。
レセプトデータは、医療費のレシートのようなものであり、診断名や投薬、診療内容など、診療実態を把握できるさまざまな情報が含まれている一方、検査をしたことはわかるが検査の結果まではわからないといったデータとしての限界もあります。また、ひとことでレセプトといっても、医療機関データベース(DB)、調剤薬局DB、保険者DBといった、複数のデータベースにわかれており、データベースの種類によって特性が異なるため、目的に応じた使い分けが必要となります(図1)。

保険者DBを用いた分析として、任意の薬剤の毎月の継続、新規、追加、切り替え、脱落患者シェアの分析や、疾患別のトリートメントフロー分析(図2)などがあり、レセプトデータの活用により、さまざまな角度から市場規模や患者さんの実態を把握することができます。
従来のレセプトデータの活用法は、マクロな患者数分析が中心でしたが、近年、個々の患者さんのペイシェントジャーニーをレセプト上で追う手法や、PHR(Personal Health Record:個人の医療・介護・健康データ)との連携、その他のデータとの紐づけへと深化しています。

レセプトデータを活用した新たなビジネスソリューションへの展開

レセプトデータの活用により、市場規模や患者さんの実態を把握することができる一方で、データからは、その起きている事実の背景にある、患者さんや医師の認知、また、感情まではわからないため、定性的調査やインサイト調査などで補う必要があります。また、レセプトデータの真の価値の実現には、医療業界における課題を特定後、医師、患者さんの行動変容を促すためのソリューションが重要となります。
加納氏は最後に、レセプトデータは決して万能ではなく、一つの情報ソースとして、調査等を組み合わせながら、目的に合わせて利活用することが大切だというメッセージで、本セミナーを締めくくりました。
レセプトデータという医療ビッグデータの多角的な活用方法を学ぶことができ、ヘルスケアコミュニケーションの観点から新たなソリューション開発へのヒントにつながる、とても貴重な機会となりました。

(メディカル・ライティング部 柳川 亜由美)

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